皆さんが買い物をするスーパー。
たくさんの商品が並んでますよね。
では、あの商品は誰が仕入れているのか??
個人の商店であれば、その店のオーナーが仕入れをするのですが、チェーン店のスーパーではその店の店長が仕入れをするわけではありません。
チェーン店のスーパーでは「バイヤー」が商品を仕入れて店に送っています。
どの商品を品揃えして、いくらで販売するかはこのバイヤーが決めます。
店はそれらの商品を店の売れ数に合わせて発注をするというわけです。
バイヤーは基本的に店には属さずに、「本部勤務」という扱いになります。
本部なので店とは違い、勤務もカレンダーどおりの勤務になることが多いです。
ですから、新入社員の間では店長よりもバイヤーのほうが人気が高いですね。
でも、実際のバイヤーの仕事を知っている人は少ないでしょう。
この記事を読めば「スーパーのバイヤーはどんな仕事なのか」
「給料はいくらぐらいなのか」が分かります。
この記事を書いた人
- 東証一部のスーパーに勤めて40年
- 店長歴は12年
- 水産バイヤー歴10年
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バイヤーの給料は高い?安い?
下の表は私の年齢、役職、年収の推移です。
赤い太字がバイヤーの頃の数字です。
私は37歳~46歳まで水産バイヤーをしていました。
バイヤーの頃の年収は「600万円~700万円」
でも実際には店長のほうが年収は高い傾向にあります。
年齢 | 役職 | 年収 |
---|---|---|
20歳前半 | 新入社員~チーフ | 300万円~350万円 |
20歳後半 | チーフ | 350万円~400万円 |
30歳前半 | チーフ~副店長 | 500万円~550万円 |
30歳後半 | 副店長~バイヤー | 600万円~650万円 |
40歳前半 | バイヤー | 650万円~700万円 |
40歳後半 | 小型店店長 | 700万円~800万円 |
50歳前半 | 中型店店長 | 800万円~850万円 |
50歳後半 | 大型店店長 | 850万円~900万円 |
日本の40代男性の平均年収が「562万円」ですから、バイヤーの年収は悪くはないですよね。
バイヤーってどんな仕事?
普通のお客さんはバイヤーの存在も知りませんし、どんな仕事をしているかも知らないと思います。
まず、スーパーには色々な売場があります。
肉売場、魚売場、野菜売場、惣菜売場、お菓子、ラーメン、牛乳 etc
チェーン店のスーパーではその売場ごとにバイヤーがいますし、さらにその売場でも商品分類が細分化されて、そのカテゴリごとにバイヤーは分かれています。
バイヤーの仕事は大きく分けて5つあります。
- どの商品をどの場所に並べるのかを決める
- 仕入れ先と商談して商品を仕入れる
- 仕入れ先と商品を開発する
- 店からの発注に対応できるように商品を登録する
- どの商品をチラシに掲載するのか販売促進部と打合せする
それぞれ説明します。
どの商品をどの場所に並べるのかを決める
バイヤーには自分に割り当てられた売場があります。
売場の広さと棚の段数がそれです。
その売場をどの商品で埋めるのかを決めていきます。
要するに、まずは売場の設計図を作ることが最初の仕事です。
仕入れ先と商談して商品を仕入れる
売場の設計図ができたら、実際の商品を手配しなければなりません。
そこでその商品を扱っているメーカーさんや仕入れ先と商談をして商品を仕入れます。
まずは、売価を設定して、それから利益率を考えて仕入れ値の交渉に入ります。
メーカーさんの選別、仕入れ先の選別をして、いちばん良い仕入れ先を決定します。
そして、その商品をどれぐらい仕入れるのか仕入れ先と話をします。
仕入れ先と商品を開発する
惣菜のバイヤーなどは自分で商品開発をしますが、それ以外のバイヤーもメーカーさんと共同で商品開発をすることがあります。
需要があるのにメーカーさんが作っていないニッチな商品を開発したり、商品内容を変更したりすることによって大幅に価格が下げられる商品などを開発します。
ただ、この商品開発は作った商品を全て自社で引き取るので、既成の商品と違い売れなかった時のリスクは非常に大きい。
店からの発注に対応できるように商品を登録する
商品を導入したら店からの発注を受ける体制を整えなければなりません。
そのためにバイヤーはJANコードを登録して、その商品がレジでスキャンされた時にレジを通るようにします。
また、店から発注ができるように「商品マスター」というのを登録して店から発注が上がったら、メーカーさんか自社の配送センターに発注が届くようにします。
どの商品をチラシに掲載するのか販売促進部と打合せする
自分の商品がチラシに掲載されることがあります。
チラシに掲載されると店からの発注が数倍に増えるために、バイヤーはメーカーさんに伝えて商品を確保しておきます。
でないとチラシに掲載されてるのに店舗では品切れとなり、お客さんからクレームとなるからです。
そのためにバイヤーは販売促進部とチラシの打ち合わせをしておく必要があるのです。
水産バイヤーの具体的な仕事内容
ここからは、私が10年間経験した「水産バイヤー」の仕事をお話しします。
①中央卸売市場での仕事
魚を扱う仕事ですから当然、中央卸売市場へも行きます。
朝起きるのはだいたい3時。そこから中央卸売市場へ向かいセリは市場によって違いますが、4時~5時頃に始まります。
バイヤーはセリへの参加ができませんので、セリが始まる前に場内を一周して、ほしい商品があれば懇意にしている仲買いさんにお願いして商品をセリ落としてもらいます。
それを仲買いさんのトラックで店舗に配達してもらいます。
朝の市場はすごい活気で圧倒されますが、楽しかったですね。
一般の方もセリは見ることができますので、一度行ってみてはいかがでしょうか?
駐車スペースもありますし、セリの商品は買えませんが、仲買いさんの店頭に並んでいる商品は買うことができます。
場内には朝早くから食べられる食堂もありますのでグルメも満喫できます。
夏休みにお子さんを連れて行っても楽しいですよ。
②商品開発の仕事
水産の商品は普通の食品と違い、メーカーさんの既成の商品は非常に少ないというか、ほとんどありません。
だから水産バイヤーはメーカーさんと商談して商品を自分たちで作ります。
まずは自分で売れると思う商品を計画して、売価を考え、そこからその売価で販売できるようにメーカーと商談を詰めていきます。
例えば「刺身盛り合わせ 980円」という商品を考える場合、「マグロ」「イカ」「かんぱち」「活鯛」などのコストを考え、それに大根のけん、トレー、ラップなどの原価を計算して、原価が半分の「500円以内」に収まるように考えます。
「えーっ!利益が500円もあるのか!ぼったくりだろ!」と思うあなた、甘いです。
実際に店で製造する人件費、売れ残った時のロスを考えたら、これぐらい利益を考えておかないと赤字になるんです。
バイヤーの評価は何で決まる?
バイヤーは数値評価が明確です。
単純に自分の担当した商品の利益が予算をクリアできれば「〇」、できなければ「✖」となります。
ですから、値段が安くてもダメ。高かったら売れなくてダメ。ロスが多くてもダメなんです。
だからバイヤーは売れる商品を考えるし、仕入れ先の開拓もします。
バイヤーは出張が多い?
基本的にバイヤーはほとんど外で仕入れ先と商談します。
本部にいるのは週に1~2日程度。
パソコンと携帯さえあれば、どこでも仕事ができますのでリモートワークも可能です。
出張も多いです。日本各地のメーカーさんを訪れたり、産地を訪れたりします。
私もバイヤーの時は海外は「タイ」、日本では「高知」「広島」「北海道」などに出張しました。
バイヤーの仕事は面白い?
スーパーの中ではバイヤーというのは専門職です。
店舗のスタッフであれば、店舗が変わってもやる仕事はほとんど変わりません。
ところがバイヤーというのは特殊なので、一度配属されると最低5年程度は異動がないのです。
毎日、同じように店舗に出勤するのでなく、どこかへ行ってメーカーさんと商談するので変化がある点では楽しいと思います。
また、自分の考えた商品が売れたりすると非常にやりがいもあります。
自分のスケジュールで行動できますので休みも自分で決められますが、休みでも店舗から携帯に入電がありますので、おちおち休んでいられないのも事実です。
最後までお読みいただいてありがとうございます。
バイヤーというのはスーパーの中でも専門的な仕事となりますので、好きな人にはたまらなく楽しい仕事であるのは間違いないですね。
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