【スーパーの珍事件簿】敵は本能寺(店内)にあり!

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皆さんはスーパーで買い物されますか?

不特定多数のお客さんが、毎日訪れるスーパーには色々な事件が起こります。

ほとんどがお客様による事件なのですが、内部犯行による事件もあるのです。

今回は、内部犯行による事件を二つお話しします。

まずは、商品を不正に持ち出すパートさんの事件です。

目次

内部に巣食う悪の面々(1)

これは、かなり大きな店舗での事件でした。

私が、その店に着任して3ヶ月ほど経った頃に畜産売場のあるパートさんが…

パートさん「店長、水産売場のAさんが変なんですけど・・・」

私「Aさんが変って?どういうこと?」

パ「Aさん、いつも売場の商品をお昼に買って食べるんですけど支払いをしていないと思うんです。」

その店は社員食堂があるのですが、店の商品をレジで支払って食堂で食べることもできるのです。

私「どうしてそう思うの?」

パ「だって、レジが混んでいるのに支払いを済ませてくるのが異常に早いんです。」

彼女が言うには、Aさんが売場の商品を持ってレジに支払いに行くのだが、レジが混んでいるにもかかわらず、レジから戻って来るのが異常に早いらしい。

レジで支払いを済ませるのはあんな短時間では到底無理なはず。

だから、レジで支払いをせずに不正をしているのではないか?というわけです。

私「分かりました。私のほうでも注意して見ておきます。」

水産部門のAさんは、私から見たら少し愛想はないけれど、元気で真面目に働かれる方という印象でした。

そのAさんが不正行為をしているかもしれない…

店長としては複雑な心境です。

次の日からそれとなくAさんを注視します。

Aさんが昼食に行きます。

売り場のカップ麺とお茶を持ってレジに向かいます。

確かに戻るのが早い。

次に社員食堂に向かいます。

Aさんが食事しています。

カップ麺の銘柄とお茶の銘柄を確認します。

事務所に戻って商品を検索します。

今は、その商品がレジを通過したか、また、そのカップ麺とお茶の組み合わせで購入したお客さんがいるのかということが瞬時で分かります。

検索すると購入履歴はありません…

Aさんが不正していることはほぼ確定です…

私はもう少し証拠固めをします。

Aさんが働いている水産売場で、商品ロスが出ていないかをを調べます。

不正を働く人は自分の売り場の商品を不正に持ち帰る人が多いからです。

過去2年間調べてみます。

やはりAさんの水産売場では、毎月数万円の原因不明のロスが発生していました。

次の日、またAさんがカップ麺とお茶を持って食堂へ行きます。

事務所で検索すると、やはり購入履歴はありません。

本日、Aさんを問いただすことに決めました。

Aさんが仕事を終える時に、社員通用口で事務所責任者と一緒に、Aさんが通るのを待ちます。

Aさんが来ました。

私「Aさん、申し訳ないけど事務所に来て下さい」

A「ど、どうしたのですか?」

驚くAさんを無言で応接室に連れていきます。

私は単刀直入に聞きます。

私「Aさん、商品を不正に持ち出していますね?」

A「・・・」

私「すいませんが、カバンの中を見せてください」

帰りに声をかけたのは、おそらく商品をカバンに隠して、不正に持ち出しているだろうと思ったからです。

やっぱり。

カバンの中から、”うなぎかば焼き”と”まぐろ刺身用”が出てきました。

金額で2千円ほどです。

私は昼食の金額を払っていないこと、水産売場のロスが毎月数万円出ていることを伝えます。

Aさんはうなだれたままです。

Aさんは独身の女性です。

年齢は45歳でした。

どうも身障者の弟さんがいるらしく、弟さんの面倒も見ていて生活は苦しかったらしいです。

以前、勤めていたスーパーも不正行為で退職させられていることも分かりました。

いくら事情があっても、不正を働いた人をそのまま雇用することはできません。

その場で退職届を書いていただき、出勤停止を言い渡しました。

警察に届けるのはさずがに気が引けたので、本部と相談し被害金額を概算で算出して、それをAさんに支払ってもらうということに決めました。

被害金額の概算はAさんから過去の商品持ち出しを聞き取りして約30万円に。

これはかなり温情金額であったはずです。

その30万円を、毎月2万円づつ15回に分けて返済することにしました。

生活の苦しいAさんには、厳しいかもしれませんが仕方ありません。

Aさんは毎月店に2万円を支払いにきて、15ヶ月で支払いを終えました。

なんとも後味の悪い事件でした。

次はお金を入れて回すと、オモチャが出てくる「がしゃぽん」に関する事件です。

内部に巣食う悪の面々(2)

皆さんは”がしゃぽん”というのを知っていますか?

地域によっては”ガチャガチャ”とも言われることもあるようです。

これは、この”がしゃぽん”のお金の回収作業にまつわるお話です。

これは今から30年近く前。

まだ、私が店長でもなく副店長でもなく、食品マネージャーの時の出来事です。

事務所の責任者でBさんという方がおられました。

Bさんは55歳、もうすぐ定年です。

みんなの信頼も非常に厚い方。

仕事もまじめで温厚でみんなに慕われていました。

スーパーの店頭によく”がしゃぽん”が設置されていますよね。

あまり気にしたことはないと思いますが、あれ意外と儲かるんです。

そんな事務所のBさんが人事異動で他の店舗へ移動となり、新しい方が事務所責任者で着任しました。

初めて事務所責任者を任される方です。

月に一度、”がしゃぽん”の売り上げを計上するので、新しい事務所責任者が”がしゃぽん”のお金を回収します。

回収したお金は8万円。

けっこうな金額でしょ?

一個100円~500円くらいの物ですがまとまればかなりの金額です。

新任の事務所責任者は、それをそのまま計上します。

すると店長が不思議な顔に…

”多いな…”

いつもの月よりも、回収金額がかなり多いというのです。

”いつもは5万円~6万円ぐらいなのにな”

毎月の金額より2万以上多いのです。

でもこの時はまだ、今月がイレギュラーで多いのかな?といった感じでした。

ところが、次の月も翌月も連続しての8万円超え。

”明らかにおかしい…”

店長の頭にだんだん疑念が…

店長が電話をします。

電話先は、前任の事務所責任者Bさんの異動先の店舗の店長です。

”もしもし、〇〇店の△△です”

電話の内容はこうです。

内密でBさんが着任してから、”がしゃぽん”の回収金額が着任前と比べて、減っていないかを調べてほしい。

しばらくして、Bさんの異動先の店長から折り返しの電話が入ります。

結果は

調べたけれど、特におかしなことはないという返答でした。

”自分の考え過ぎかな…”

店長はそう思ったそうです。

それから半年後

Bさんの異動先の店長から、自店の店長に電話が入ります。

”最近、回収金額がかなり減ってきた”という内容の電話です。

そこで、Bさんの異動先の店長は仕掛けをすることに…

”がしゃぽん”を回収する期日の少し前の日(Bさんが休み)に、すべての”がしゃぽん”の機械に入っているお金を数えて、機械に戻すということにしたのです。

その時に機械に入っていた金額は7万円。

これは店長と副店長で相互確認したので間違いありません。

そして回収日当日…

Bさんが回収を終えて報告書に記入した金額は…

5万円…

明らかに2万円を着服しています。

店長と副店長が、応接室にBさんを呼びます。

前日に店長と副店長が金額を確認していますから、言い逃れはできません。

Bさんは着服を認めました。

会社は懲戒解雇でもおかしくないのですが、高校を卒業して37年間も勤めてくれたという温情で、諭旨免職の退職金ありということにしてくれたみたいです。

会社からはその後、”現金回収作業は必ずふたりで実施すること”という、お達しが来たのは言うまでもありません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

スーパーはお客さんだけでなく、内部の従業員まで注意が必要なんです。

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