「スーパーに就職しようと思うんだけど、調べるとブラック企業と出るけど大丈夫?」
「スーパーって労働時間が長くて残業が多いって本当なのかな?」
「スーパーって休めないって本当?」
スーパーに就職を考えている就活生は気になりますよね?
あなたの疑問にスーパ歴38年の元店長がお答えします。
ズバリ結論から言えば「このご時世に、一部上場企業の大手スーパーであればブラック企業なんてありえない」ということです。
ただ、人によって「ブラック企業」と思うか思わないかは基準が違いますので様々な角度から解説していきたいと思います。
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まずは「長時間労働」について解説いたします。
スーパーって「長時間労働」って本当なの?
これは、その人の役職にもよりますね。
一般社員だと今はほぼ定時で帰れます。
残っても1時間の残業くらい。
今は大手のスーパーでは全てタイムカードのデータが本部の人事課に送られます。
そこで管理されて、あまりにも長時間の社員はピックアップされて、その店の店長に警告が入ります。
そこで店長はその社員に早く帰るよう指導をします。
昔は社員によってはタイムカードを押して、残る社員もいたのですが、今はそれが発覚すると店長は降格などの大きなペナルテイを受けるので、そんな不正はしないですね。
むしろ、残っていると店長は早く帰るよう指導をします。
売場チーフは一般社員よりは帰れません。
どうしても平均すると1時間程度は残業になります。
問題は店長と副店長ですね。
特に店長は立場的には使用者となりますので時間管理の枠から外れることが多いです。
だから店が10時開店9時閉店の店舗だと朝8時前には出社して夜の7時頃の退社。つまり11時間程度は勤務することが多いです。
副店長は立場上、店長より早く帰ることは難しいので労働者の立場であっても店長と同等の勤務時間になります。
さらに売場によっても変わります。
問題は生鮮食品。特に「水産」と「惣菜」です。
どちらも当日に加工する商品が多いので、どうしても出勤時間が朝の7時頃になります。
拘束時間が9時間ならば定時は16時になりますが、店舗がピークを迎える午後4時に売場を空にして帰ることはできませんから、午後6時くらいまで残ることになります。
- 一般社員はほぼ定時で帰れる
- 売場チーフは1時間程度の残業が発生
- 店長、副店長は2時間程度の残業が発生
- 生鮮は朝が早いということで2時間程度の残業が発生
- 昔みたいに長時間労働することはほぼない。
次は「残業」です。
スーパーって本当に残業が多いのでしょうか?
スーパーって「残業が多い」って本当なの?
正直言って、昔は残業が多かった。
でも、これも一部上場の大手スーパー限定で話をすると、店長以外なら「月40時間以内」に収まっている。
店長はどうしても「使用者」といって時間管理の枠から外れるので、正直「月40時間以内」に収まっているとは言えない。
あと、生鮮担当者もどうしても朝が早いので残業が多くなる。
「えーっ、残業がそれだけあるのか、ブラックじゃん」と言われるかもしれないが、私から言わせれば「残業代をしっかり支払えば問題は無い」と言える。
少々、残業しても残業代をもらえるのならそれでもいいという人も一定数はいるはず。
特に残業代は通常の時給の「1.25倍」だから結構な金額になる。
問題は残業しているのに残業代が支払われない場合だが、大手であればそれはほぼない。
そんなことはクチコミですぐ拡散される。
そうなればただでさえ人手不足なのに人も集まりにくくなるし、労基署の指導を受ければ世間に社名を公表されるので、そんなリスクは負わないからだ。
だから残業に関してもブラックではない。
- 今は店長以外の大部分の社員は「月 40時間以内」の残業時間に収まる
- 生鮮に関しては残業が多くなる傾向
- 大手であれば残業代は全額支払われる

おそらく、スーパー勤務でいちばんつらいのは次の理由ではないでしょうか?
私も40年間働いて、いちばんつらかったですから。
スーパーって「休みが取れない」って本当なの?
連休は希望すれば取得できます。
ただ、週休2日制として一週間で連休を取得すると「5勤2休」となります。
スーパーの勤務を時間中ほぼ立ち仕事です。さらに荷物を運んだりする肉体労働が多いので肉体的な疲労は大きく、5日間連続で出勤はかなり疲れます。
それでもいいのであれば連休の取得は可能です。
土日の休日取得は店によります。
店舗によっては大型店で「サンデーストア」と呼ばれ、週末に大きな集客がある店舗は休みにくい。
逆に平日中心の店舗で週末のほうが逆にお客さんの少ない店舗もあり、そういう店舗は土日の方が休めますが、主婦であるパートさんを優先的に休ませることが多いです。
だから、配属された店舗にもよりますし、用事あって事前に希望しておけば休むことは可能です。
「年末年始」「盆」「ゴールデンウイーク」も店によります。
年末年始ですが、年末に関してはどの店舗も最大の繁忙日ですので12月29日~31日はほぼ休めません。
年始は大型店以外、特に小型店はそれほど忙しくないので希望すれば休めます。
お盆は地域差があります。お盆に帰省される方が多い地域の店舗は忙しいので8月13日~15日は休めません。
逆にお盆に人が流出する地域の店舗は休みやすいです。
ゴールデンウィークはその期間中は土曜日くらいの忙しさが続きますので休みにくいですが、最低でも期間中に2日程度の休みはあります。
長期休暇はシフト制のため休めても4連休くらいが限度です。
例えば社員2名体制の売場であれば、一人が連休すればもう一人が連続出勤となるので無理すれば5連続出勤可能ですが、きついのは事実です。
大手でも「長期休暇を交代で取得可能」といって連休の日数を設定している企業もありますが、ほぼ取れないと思って間違いありません。
- 2連休程度は希望すれば取得可能
- 土日は店舗によって状況は異なる、希望すれば取得可能
- 年末 12月29日~31日はほぼ休めない
- 年始 大型店は1月1日~3日で1日は休める 小型店はかなり休みやすい
- お盆 店の立地によって異なる
- ゴールデンウィーク 期間中 2回程度は休める
- 長期休暇 制度があってもほぼ取得できない
つぎはクレーム対応に関しての話です。
最近は本当に理不尽なクレームが多くなっています。
スーパーって「クレーム対応が大変」って本当なの?
これは役職によって違う。
一般社員や売場チーフのレベルなら、自分の売場範囲のクレームなので、数も多くは無いし大きなクレームも少ない。
クレーム内容も「商品が傷んでるかも?」「値段が違う」「髪の毛が入っている」というくらい。
最悪、自分で処理できなければ上司が処理してくれる。
ただ、店長となると話は違う。
店舗のクレームは全て店長が対応する。
中にはとんでもないクレームや恐喝や犯罪レベルのクレームもある。
「店長を出せ!」なんて日常茶飯事。
本部なんかあてにできないから全て店長が処理することになる。
理不尽なクレームにも我慢して対応しなければならないのは本当につらい。
この件に関しては「ブラック企業」であるのは間違いない。
店長のクレームの大変さは自著「店長は見た!スーパーに潜む魔物たち」に詳しく書いているので興味のある方は一読願いたい。
- 売場チーフまでのクレームは大したことない
- 店長になるとクレーム対応は大変 この点はまさに「ブラック企業」と言える
次は転勤ですが、これはメリットもあるんです。
スーパーって「転勤が多い」って本当なの?
これは本当です。
店長は2年ごと、その他は3年ごとくらいに異動があります。
スーパーは店舗が多いので普通の会社よりも異動が多いのは当たり前といえば当たり前。
例えば売場チーフでも優秀な人はどんどん大きな店舗、売り上げの多い店舗に異動します。
会社からしたら、「優秀な人に大きな店舗、売り上げの大きい店舗を任せたい」というのは当然のことです。
店長も同じように優秀な人は大きい店に異動していきます。
店長の異動が2年と早いのは不正を防ぐ目的もあります。
しかし、異動(転勤)が多い=ブラック企業 かというと、そんなことはないですね。
むしろ社員のほとんどは異動のシーズンになるとソワソワして自分の異動を心待ちにしています。
どんなに居心地のいい店舗でも、やっぱり2年もいると飽きるんですよ。
新しい店舗に行っても今より良くなる保証はないのですが、やっぱり異動は心待ちです。
逆に異動が頻繁にあるということはメリットでもあります。
たとえ合わない上司と同じ店になっても最大で3年、早ければ1年でお別れできるのです。
これなら何とか我慢できると思いませんか?
「家庭の事情で家から離れることができない」
そんな方には「地域限定社員制度」を設けているスーパーも多いです。
総合職になれなかったり、給料が低く設定されるハンデはありますが、「地域限定社員制度」を使用すれば実家から通える店舗のみで働くことも可能です。
- 異動(転勤)は通常で3年ごとくらいにある
- 異動(転勤)にはメリットも多い
- 遠くへの赴任が無理なら「地域限定社員制度」を利用する

次は、よく聞く「商品の強制購入」、これは上の立場になるほどつらかった。
スーパーって「商品強制購入が多い」って本当なの?
これは本当です。
- 恵方巻
- ひなまつりケーキ
- こどもの日ケーキ
- 母の日の花
- 父の日
- お中元
- ボジョレーヌーボー
- クリスマスケーキ
- お歳暮
- おせち料理
今はあからさまなノルマが無いのでマシですが、昔なんか「お歳暮 社員は〇〇万円」なんてザラでした。
パートさんにまで強制していたのが問題になってかなり軽減されました。
そりゃ「あそこに勤めたら、商品買わされる」という噂が流れたら、ただでさえ人が集まらないのにますます働く人が来なくなりますから。
でも、働く売場同士で「あなたとこの商品に協力したから今度はウチのを買って」とかのしがらみがありますから、なかなか断ることもできません。
店長は本部から金額目標や個数目標を与えられますので、消化率が悪ければ自分で数個買います。
クリスマスケーキ3個なんてザラでした。
今はこれらが職権濫用のパワハラに認定されることもありますので、かなり沈静化していますが、それでもやっぱり「商品の強制購入」はあります。
- 「商品の強制購入」は昔に比べるとそれほどひどくはないが、それでもスーパーに勤めている以上は仕方ない部分がある
ここまで読んでいかがでしたか?
私なりの結論をまとめてみました。
スーパー勤務は「ブラックなのか?、そうでないのか?」
スーパーって「ブラック企業なのか?」 結論
- 「長時間労働」 今は残っても1時間程度の残業 ほぼ定時で帰れる
- 「残業が多い」 少ない売場は月10時間以下 「水産」「惣菜」は月40時間あることも ただ、残業代は全て支払われる
- 「休みが取れない」 店によって違うが土日、年末年始、盆 は休みにくい 長期休暇は制度があってもほぼ利用できない
- 「クレームが多い」 一般社員レベルなら気にするほどでない ただ、店長になるときつい
- 「転勤(異動)が多い」 確かに多いがメリットもある。遠くに赴任できなければ「地域限定社員制度」を活用する
- 「商品の強制購入が多い」 今はかなりマシに でも勤めている以上、仕方ない部分もある
いかがでしたか?
今の一部上場のスーパーであれば「ブラック企業」なんてありえません。
むしろ安定していることや給料の面では優れている部分も多いです。
唯一のネックは「休みがとりづらい」というところですかね?


