スーパーで働いていると、色々とメンタルをやられる場面に出会います。
「自分は本当にダメなのか?」
「こんな仕事辞めてしまいたい!」
その気持ち、経験者としてよく理解できます。
私もスーパーで働いて40年。何度も心が折れそうな経験をしてきました。
そんな私が心が折れそうになった時、どのように対処してきたかを解説したいと思います。
スーパーの社員でなくても、これを読んでいただければ少しは心が軽くなりますよ。
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転勤で着任した店舗で前任者と比較されたときの対処法
これは何もスーパーという業界に限ったことではありません。
しかし、店舗の多いスーパーは店舗間での異動(転勤)が頻繁にあります。
店長クラスだと2年ごと、売場チーフでも3年ごとくらいに異動があります。
新しい店舗に着任したら必ずパートさんから
「前の店長のほうが良かったなぁ」とか、「前のチーフのほうが仕事やりやすかったのに」
ということを陰で言われます。
これ、慣れないと結構傷つくし、気になるんですよね。
私が最初に店長になった店舗は、私を含めて正社員4名、パートさん、アルバイトさん含めて40名程度の小さな店舗です。
年間の売上げも「7億円」程度しかありません。
それでも初めての店長ですから頑張りました。
それが良かったのか、当時の部長に認められて、そのエリアではいちばん大きな店舗への異動が決まったんです。
今度の店舗は年間売上げが「23億円」と今までの店舗の3倍以上。
社員は私を含めて11名、総人員は100名の大きな店舗です。
その店の前任者の店長は今では私のスーパーの取締役にもなっている、いわゆる「キレ者」。
さらに昔で言う「モーレツタイプ」の人でした。
そんな人の後を受けたわけですから、私のプレッシャーは半端ではありません。
何とか頑張ろうとするのですが、気持ちだけが空回り。
何かやろうとしても「前の店長の時はそんなことしなかった」「前の店長の時はこういうふうにしてたのに」という不満の声だけが聞こえてきます。
私はそんなにメンタルが弱い方ではないのですが、この時だけは本当に参りました。
悩んだ末に出した結論は「店長を降ろしてもらおう」ということでした。
それほど私は追い詰められていたのです。
降格を決意した私は、私を引き上げてくれた部長に電話をします。
「部長、この店は私には無理です。店長を降ろして下さい」
部長は言います。「それは、まだ人事には話してないな? 俺がすぐ行くから保留にしておけ」と言ってすぐに私の話を聞きに店まできてくれました。
部長に話して少し楽になった私はもう少し頑張ってみようと思ったのです。
それから、私は考え方を変えました。
私がしていたのは前店長のやり方を真似てるだけだったことに気づいたのです。
私はどちらかというと上から指示してやらせるタイプでなく、みんなを上手くおだてて、その気にさせていくタイプ。
前店長と全く性格が違うのに、前店長と同じやり方をしようとしても上手くいくはずも無いし、自分が疲弊して潰れることに気づいたのです。
それからは前店長の亡霊を振り払って、自分のやり方で店を運営していきました。
すると不思議なことに店の運営はスムーズになり、私がこの店舗を出る時には年間売上げも「27億円」まで伸びていたのです。
考えれば分かることです。
私と前店長では生まれも性格も全く違います。
そんな私が前店長と同じやり方をしようと思っても、上手くいくわけありません。
私自身がそのギャップに疲弊して潰れてしまうのは当たり前のことだったのです。
私は「手段」を「目的」にする間違いを犯していることに気づきました。
どういことかを説明します。
例えば、あなたが「富士山」に登るという「目的」を持ったとします。
「富士山」に登るには色々なルートがありますよね。
体力のある人は「まっすぐに登るルート」を行けばいいし、体力の無い人は「ゆっくり迂回するルート」を行けばいいんです。
だって、「目的」はあくまで「富士山に登る」ということなんですから。
それが「手段」が「目的」にすり替わってしまうと、体力の無い人が体力のある人の真似をして、「まっすぐ登るルート」を行く間違いを犯してしまう。
そして潰れる。
私の場合も同じです。
私の目的は「店の売上げを伸ばす」ということであって、決して「前店長と同じ手法で店を運営する」ということではないのです。
それからです。
私は、どの店に行っても前任者のことを気にせずに自分のやり方で店舗運営を行いました。
もしそれで、会社が「こいつにはこの店は任せられん」と判断したら異動させられるだけのことです。
そう思うと不思議と楽になりましたね。
あの時に店長を降りていれば、今の私は無かったと思います。
- 前任者とあなたは、そもそも生まれも性格も違う
- 前任者のやり方を真似てもうまくいかないし、自分が疲れて潰れるだけ
- あなたは自分のやり方でやっていけばよい ダメなら会社が判断してくれる
- 「手段」が「目的」にすり替わっていないか?よく考えてみる
理不尽なクレームを受けたときの対処法
スーパーには不特定多数のお客さんが来ます。
中には明らかに「や〇ざ関係」やチンピラ。
言葉が通じないようなヒステリックなおばさん。
自分の言いたいことだけ言って、こちらの言うことを全然理解しようとしないおじいさん。
特に「や〇ざ」の人からクレームなんてきたら、心配で何日も眠れなくなります。
私も数多くのクレームを受けてきました。
理不尽なクレームの話は自著「店長は見た!スーパーに潜む魔物たち」で詳しく書いています。
よろしければアマゾンキンドルで無料で読めますのでお読みください。
理不尽なクレームや要求にはどうするのか?
答えは「できない」ということをはっきりと言うことです。
それでも相手が強要すれば、それは「強要罪」という立派な犯罪ですので、すぐに警察に通報してもかまいません。
店舗に押しかけて大声で騒ぐ。
そんな人には、大声を出さないように言います。それでも聞き入れてもらえないのであれば、店舗から退去するように言います。それでも居座るのなら「不退去罪」として警察に通報しましょう。
その他にも、あなたが対応していて身の危険を感じたり、怖いと感じたら「脅迫罪」です。
すぐに警察に通報してかまいません。
「お客様にそんな態度を取ったら会社に怒られる」
そんなことを考える必要は全くありません。
それで怒られるなら、その怒った人間に、そのクレームの処理をやらせなさい。
そして、そんな薄情なスーパーとはすぐにおさらばすることをおすすめします。
まずは自分の身を守ることが優先です。
あと、たまに「や〇ざ」と名乗って、組の名前をちらつかせて脅してくるヤツがいますが、そんな奴らは絶対に「や〇ざ」ではありません。
なぜなら、最近は暴対法の強化により、組のチンピラが問題を起こすと、その使用者である組長が使用者責任を問われてしまうからです。
組の名前を出して脅迫するヤツは、ただのおっさんであることが多いです。
とにかく、何か事件があれば些細なことでもいいので地域の警察に出向いて報告しておきましょう。
警察というと何か入りづらいですが、相談に行けば結構親身に相談に乗ってもらえます。
普段から警察とコミュニケーションを取っておけば、何かあればすぐに来てもらえます。
警察の方が言っていたのは
とにかく、細かく記録しておく。
何月何日何時何分に、どいうことがあって、どんなことを言われて、自分はどのように対応したのか?
それがあれば、何かあった時に非常に対応しやすいと言ってました。
なんでもいいので細かくメモして記録に残しておきましょう。
- 「脅迫罪」「強要罪」「不退去罪」にあてはまればすぐに警察に通報
- 会社のことより自分の身を安全が優先
- 事件は細かく記録する
- 地域の警察とコミュニケーションをとっておく
ネットでスーパー正社員と検索したときの対処法
ネットで「スーパー正社員」と検索すると、とんでもないネガティブな言葉がヒットします。
「スーパー社員 恥ずかしい」「スーパー社員 クズ」「スーパー社員 底辺」「スーパー就職やめとけ」
ひどいですよね?
私も最近ネットで調べて愕然としました。
おそらく、スーパー社員はこの検索結果を見てショックだろうなと思います。
では、なぜこのように思われるのでしょうか?
- 給料が安い
- アルバイトでもできる簡単な仕事
- 将来性がない
- 土日に休めない
- 長時間労働で帰れない
- 結婚できない
こんなところが大きな要因でしょうか?
ひとつひとつ解説していきます。
①給料が安い
日本の平均年収が「403万円」に対し、スーパーの平均年収は「360万円」
これだけ見ると低いですが、平均年収の中央値は「350万円」ですから、そんなに安いということはありません。
売場チーフで「550万円」、店長になると大変ですが「750万円~1000万円」にもなります。
下記記事で私の年収を公開しています。
②アルバイトでもできる簡単な仕事
これは当たり前なんです。
スーパーというのは「お値打ちな商品をできるだけ安くお客様に提供する」というのが使命です。
それが、仕事が難しくて人件費の高い人しかできないとなれば、どうなります?
「安く提供する」ということはできませんよね。
だから、スーパーでは売場の作業に関しては誰でもできるように「単純化」「標準化」「平準化」に進化させてきたんです。
「誰にでもできる仕事」でなく「誰にでもできるように進化させた」というのが正しいんです。
あと、世間が見ているのは目の前に見える売場の作業だけです。
本当は商品が売場に並ぶまでの仕事のほうが多いんです。でも、そこは専門的な仕事になるのでアルバイトさんやパートさんができる仕事ではないんですね。
③将来性がない
私はスーパーに39年勤めていますが、給料や賞与の未払いなんて一度もありませんでした。
それどころかコロナショックで多くの企業が利益を下げる中、スーパーは「中食需要」で好決算。
臨時ボーナスまでいただきました。
GMSと呼ばれる衣料や雑貨まで品ぞろえしているスーパーは「ユニクロ」や「ニトリ」、ドラッグストアに押されて業績は下降気味。
今後も既存の売場を持て余して苦しい状況が続くでしょう。
しかし、食品だけのスーパーは今後も成長すると思います。
特にネットで販売できない「水産」と「惣菜」に強みを持つスーパーはまだまだ伸びしろがあります。
お客さんが実店舗で買い物しなくなるというのは絶対にありません。
買い物というのは「食べ物を調達する」ということだけでなく、買い物をすることによって五感を刺激し、ストレス解消にもなるからです。
④土日に休めない
これは「サンデーストア」と呼ばれる大型店では確かに土日に休むのは難しい。
でも小さな食品スーパーであれば、平日の方がお客さんの多い店舗もあるので、逆に土日に休みやすい店舗もあります。
そして、全部の土日に休むことはできませんが、月に何日か希望すれば土日も休めます。
ただし、年末年始、お盆は休むのが難しいのも事実です。
⑤長時間労働で帰れない
昔はそうでしたが、過労死が社会問題になってからは長時間労働なんてありません。
店長で朝8時頃出社、午後6時頃退社、生鮮売場チーフで朝8時出社、午後6時退社、食品売場チーフで 昼11時出社、夜8時退社 こんな感じですかね。
残業も店長で月に20時間、売場チーフで10~30時間。
生鮮売場のチーフはどうしても朝が早いので残業が多くなります。
今は、タイムカードのデータを本部で管理しているために、長時間や残業の多い社員は本部から店長に警告が入ります。
また、タイムカードを押してから働くという不正が発覚すれば、不正を行った社員と店長の両名が処分されるので、そんな不正は誰もしません。
今は早く帰っても咎められません。逆に早く帰れと促されます。
⑥結婚できない
結婚できますし、子供も育てられます。家を持つこともできます。
全くのウソですね。詳細は下記記事をお読みください。
- 給料が安い 給料は低くありません
- アルバイトでもできる簡単な仕事 売場作業は進化して簡単にされてきた
- 将来性がない 「水産」「惣菜」の強い食品スーパーは伸びしろあり
- 土日に休めない 小さい店舗は週末に休みやすい
- 長時間労働で帰れない 今はそんなことない
- 結婚できない 結婚できるし、子供も育てられる、家も買える
最後までお読みいただきありがとうございます。
その他にも下記記事で私がスーパーで定年まで勤めて分かったことを記事にしていますのでお読みください。