「今度、スーパーに就職するんだけど、希望する部署に行けるかな?」
「できれば、企画やマーケティングをやりたいんだけど」
スーパーに就職が決まった新卒の皆さん、就職おめでとうございます。
皆さん、新しい配属先に胸をときめかせていると思います。
そのときめきに水を差すようで悪いのですが、結論から言えば
あなたの希望どおりにはいきません!
新入社員の配属がどのように決まるのか、スーパー歴40年で店長経験12年の私が詳しく解説いたします。
あなたの市場価値が無料で分かる!
まず、あなたはこのような甘い幻想を抱いていませんか?
スーパー就職 現実は甘くない!
「俺は、本部で企画や広報の仕事がしたいいんだよな」
「私は商品開発や仕入れの仕事がしたい」
はっきり言います。
就職説明会で人事担当者に何を言われたかは知りませんが、新入社員がいきなり本部勤務になることは100%ありません。
皆さんには全員、店舗に配属されて現場を経験してもらいます。
普通に考えればわかりますよね?
現場でどういう仕事をしているかもわからないのに企画を考えて売れると思いますか?
現場で何が売れているかも知らないで開発した商品が売れると思いますか?
あなたが逆の立場なら必ずこう思います。
「現場のことも知らずに的外れなことを言うな!」
スーパーの利益の源は店舗の売場です。
本部なんかでデータを見ながら考えても店舗では役にたちません。
現場である売場をしっかり見ることでスーパーは利益を出すのです。
いきなり本部勤務なんて社長のアホ息子ぐらいです。
幻想は捨てましょう。

まず、あなたが働く店舗がどのように決まるかを解説します。
スーパー就職 まずは勤務する店が決まる
チェーンストアのスーパーなら複数の店舗があります。
皆さんはその中でも実家の近くの大きい店舗に配属されます。
近くの店舗に配属されるのは通勤しやすいからです。
入社当初は精神的にも肉体的にも疲れるので、遠いと大変ですから近い店になります。
大きい店に配属されるのは小さい店だと集合教育ができないからです。
新入社員教育には現場で仕事を教える「OJT」(オンザジョブトレーニング)と集合教育の「OFFJT」(オフザジョブトレーニング)があります。
小さい店で社員が少ない店舗では座学である集合教育ができないので、ある程度管理者の数が多い大型店になります。
ここで、いきなり小さい店舗に配属されて集合教育も行われないようなスーパーは要注意です。
あなたをきちんと育てようという考えが無いからです。
すぐの転職をおすすめします。
- まずは近くの大型店に配属
- 現場でのOJTと集合教育のOFFJTがある
- いきなり小型店で現場教育する企業は要注意
店舗配属が決まれば、次は売場が決まります。
スーパー就職 食品に配属は決定事項
配属された店舗で仮の売場に配属されます。
就職で人事の面談で何を言ったかは知りませんが、あなたの希望が叶うことはありません。
なぜなら、その企業が配属したい売場の人員数とあなたたちが希望する売場の乖離が大きいからです。
「私はレディース売場がいいな」「僕は日用品売場に行きたい」「食品だけは行きたくないな」
あなたたちはすぐに転職しましょう。
「ユニクロ」「ニトリ」「ドラッグストア」へ就職されることをおすすめします。
まずは問答無用で食品へ配属されます。
その中でもあなたが希望してた「ドライ」や「日配」の配属ではなく、生鮮売場に配属される可能性が高いです。
特に人員が必要な「水産」「青果」には離職率も加味されて複数人が必ず配属されます。
新入社員が10名配属されたときは「畜産 1名」「水産 2名」「青果 2名」「惣菜 1名(女子)」「ドライ 2名」「日配 1名」「食品レジ 1名(高卒女子)」こんな内訳になります。
- まず、全員が食品売場に仮配属される
- 多くが生鮮売場に仮配属となる
最終的に、何を見て適性判断をされるのでしょうか?
スーパー就職 適正なんてわからない
仮配属された皆さんは、1~2か月程度の現場教育(OJT)と座学の(OFFJT)、接客や食品レジ、商品包装などを学びます。
座学の(OFFJT)ではチエーンストア理論や売場の計数、ビジネスマン基礎などを学びます。
OFFJTが終わるといよいよ本配属が発表されます。
実はそれまでに店長と人事部では色々なやりとりをしています。
「適正はどうか?」「本人の意欲はどうか?」「店長から見て部門を変えたほうが良いのか?」
仮配属から本配属されるまでの期間に店長に希望を言えば受け入れてくれる可能性もあります。
ただ、「水産は合わないので、寝具売場に行かせてください」と言うのはもともと無理な話です。
「ドライよりも水産に行かせてください」という希望なら受け入れられる可能性は高いです。
最終的に人事部から「新入社員の配属案はどうしますか?」と打診が来ます。
でも短い期間にずっと適性を見ているわけでもないので正直わかりません。
「○○クンは元気だから水産がいいかな」とかいうレベルです。
結局は仮配属のままに配属が決まることが多いですね。
そして集合教育が終了する半年後くらいにそれぞれがバラバラの店舗に異動していきます。
- 1~2か月は仮配属でOJTとOFFJTを受ける
- 売場変更を希望するなら、本配属までに直接店長に申し出る
将来的に店長を目指す方はこの記事が参考になります。


実際に店舗での仕事が始まります。
そこで頑張るのか?それともあきらめるのか?
スーパー就職 まずは現場で頑張るしかない
「本部で企画をやりたい」「バイヤーになって仕入れがしたい」「商品開発をやってみたい」
それぞれ希望はあるでしょうけど、まずは現場の仕事を経験して、泥と汗にまみれて現場の苦労を知ることが大事です。
「どうして俺がこんな簡単な売場の仕事をしなくちゃいけないんだ」
それ本気で言ってますか?
上層部からしたら現場の仕事や苦労が分からない人、売場の単純な作業ができない人に難しい仕事なんて危なっかしくて任せられません。
簡単な仕事が当たり前のようにできてから難しい仕事を任せられるんです。
皆さん、野球選手の「イチローさん」は知ってますよね?
昔、イチローさんのバットを作っておられる有名なバット職人さんが引退されるということでテレビの特集がありました。
インタビュアーが職人さんに聞きます。
「バットを作るのに、いちばん大切なことはなんですか?」
みんなは想像します。
「毎日、木の状態を見ることです」「選手の好みをしっかり聞いてバットを作ることです」
そのような話を待っていたところ、その職人さんがポツンとつぶやきます。
「履き物を揃えることですな」
奥が深いですね。
職人さんはこう言いたかったのだと思います。
「履き物を揃える、挨拶をする、いただきますを言う」そんな当たり前のことができない人間は何をやらせてもうまくできることはない。
仕事に夢を持つのはいいですが、まずは目の前の当たり前のことが当たり前にできるようになりましょう。
本部に行くには最低でも売場チーフになる必要があります。
しっかり現場の仕事をできるようになって、その経験を本部の仕事で活かすようにして下さい。


